半地下マンション建設費と利回り(土地活用と事業収支)

【地下室有りの賃貸マンション計画の検討】

今日は、マンション建設を集中して検討したことがある方なら、地下にも、マンションの住居を作った場合、儲かるんじゃない?という妄想、疑問をしたことが一度や二度はあることでしょう。

地下有りマンションの建設費、利回りの関係を研究しながら理解を深めていきましょう。(尚、建築基準法上は、半地下という言葉なく、下記に示すように、明確に定義されています。)

そこで、またまた過去に、お客様が購入を検討していてボツった物件の登場です(笑)

【地下室の容積緩和】

地下物件についての建築基準法上で、地下室とみなされると、住宅部分の「延床面積の3分の1を限度として、容積として計算しない」と建築基準法で定められています。つまり容積緩和で、土地の容積率MAX以上に賃貸部分が建設できるということです。

これは敷地形状・面積や、立地状況、賃料相場にもよりますが、適合できる敷地で最大収益を上げられる。

【建築基準法上の地下室扱いの条件】

基準法では地下室の定義は、地盤面(GL)から地階の天井が1m以下であること、且つ、天井高さの1/3以上が地盤面(GL)より下にあれば地下室です。

上記の物件の地下室の断面を、拡大してみると、このような画像となります。

この図の、天井高さ2400㎜の内、地盤面下1450mmが、地盤面上が、950㎜≦1000㎜且つ、BFFL~GL=1450mm>2400mm/3=800mmで地階となります。

条件を満たすと、緩和以前の容積率MAXでは、建てられない規模の専有面積を地下に確保できます。。

地下室を住宅として、使った計画を検討する場合、採光制限や避難経路についても、規定があり、空堀り(ドライエリア)を作らなければ、ならないので、比較的広い敷地でなければ、地下室有りの賃貸マンション建築は難しいでしょう。

建築基準法上の地下室として容積緩和を受けた物件であっても、外からの見た目は、不動産的には半分地下なので、暗すぎる感じにはならないですし、エリアや規模等によっては有効になってきます。

上記は、この物件で検討した日影図ですが、低層で決着がつく、事例のようなマンションが建つ立地(用途地域)に関しては、大体、日影規制が出てきますので日影図の見方については、こちらの弊社のブログでご紹介した『日影規制 土地活用の豆知識を⑥』を熟読して、理解を深めていただければと思います。

ここらで、疑問に思われる方が多いのが、「地下室作ったら、めちゃめちゃお金掛かるんでしょう?」という疑問があるかと思いますが、そこも収支で人目で解るようにします。

但し、実際は、水がバンバン出る地盤と、水の出ない地盤では、山留工事の工法や土工事の搬出手間などが変わってきます(そもそも論として、水がバンバン出る地盤や、ハザードマップで洪水になりやすいエリアについては原則地下室はやめておいた方が良いですね。)。今回は、水は、殆ど出ない前提で、建設費を算定して、収支を組んでますので、予め了承してください。

それでは、それでは、この物件で、地下室有りの場合と、地下室無しの物件の利回りを実際に計画した(ボツになったが)
板橋区の想定賃料(坪1.1万円程度(板橋も広いですが))と、目黒区の想定賃料(坪1.4万円程度)で比較してみましょう。

まず、建設費は、地下室有りの図面のままで法延床の坪単価は、概算見積価格で86.83万円/坪
図面の地下室をなくした法延床の坪単価は、概算見積価格で80.57万円/坪です。

坪単価にして、計算上6万円ほど上がりますね。山留や搬出土量の増加などが主です。
これは、空中に建てるより、地面に穴掘って建てたほうが高いことが理解できると思います。

利回りに関しては、地主に関しては、地下を掘らない方が高いです。

一方で、年間収入は、地下を掘った方が700万円近く年間増えるので、地主の方は、どちらを取るべきか悩むところですね。どちらも11%を超える安定利回圏内なので、後は、地主さんが何を求めるかでの決定になるでしょう。

一方で、土地を購入した場合は、地下を掘った方が良いのでしょうか?仮にこの土地を板橋で2億円で購入した場合の収支を組んでみます。

板橋区付近の賃料(坪1.1万円程度)で、土地を購入した場合、地下室を掘った方が若干利回りが良くなることがわかります。

目黒区の地主さんの場合においては、地下無しの方が1%ほど利回りは高くなります。ここら辺の家賃規模になると、将来的な売却価格に関しても要検討したうえで、どう選択するかを考えた方がよさそうです。

目黒区付近の賃料帯で、土地購入して地下室が建てれる広さの場合は、地下室を作った方が収益性が良くなります。

結論としては、

高賃料帯のエリアであるほど、売却を将来的に見込む場合は、可能であれば地下物件を建てたほうが良い。

と、いうことになります。

物件によって、検討の余地があるのかないのかは、気軽にご相談いただければ嬉しいです。

最後まで、読みましたね!それでは、

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