土地活用の豆知識①RC造で壁8mの建設費は幾ら?

今回は、土地活用の豆知識として、「RC造の壁8mは幾らか?」
について、書いて行こうと思います。

8mとしたのは、賃貸1部屋の間口を3.2mとすると、長辺8mの戸境壁の部屋で、
部屋の面積が、25.6㎡ですので、何となくイメージがしやすいかなと思って、
そのように設定しました。

前回の『RC造のマンション建設費、坪単価の実例リスト ㈱土地活用トラックレコード公開の記事で、坪単価は建物形状他の諸条件によるということを記載しましたが、
数量に単価を掛けて、金額を弾くことによって、どのように影響があるかのイメージを
膨らませて頂ければと思います。

勿論、建設費の相場は動きますし、図面や敷地条件によっても異なりますが、
2017年9月現在で、東京で、大体の幾らぐらいするのだろうかと、
概ねのイメージを沸かせる為に仮の数字で検討しています。

RC造で壁8mの建設費は幾らの?

仮に、マンションの階高を2.86mとして、スラブ厚を0.18mとすると、
スラブ下から、スラブ上までの寸法は、2.68m、壁厚さを0.18mとします。

生コン数量は、
8m×2.68m×0.18m=3.585㎥

型枠数量は、
8m×2.68m×2面=42.88m

鉄筋数量は、仮に、生コン1㎥当たり、0.165tとすると、
3.585㎥×0.165t/㎥=0.59t
とします。

上記の数量に、単価を掛けています。

まずは、生コンから、生コン強度は、当然、階数によって変わって、
生コン強度に応じて単価違いますが、
仮に、平均的な強度の単価を14,000円/㎥とすると、
材料価格は、
3.585㎥×14000円=50,190円

コンクリート打設手間は、1フロアが横にどれだけ広いかによって、変わってきますが、
生コン圧送ポンプ代と併せて、200㎡ぐらいの床面積の階ですと、
1フロア18~20万円ぐらいでしょうから、何枚の壁があるかにも寄りますが、
仮に、8mの壁の打設金額を20,000円としましょう。

生コン材料と、生コン打設手間で、8mの壁は、70,190円

型枠は、金物取付や、型枠解体費、運搬費等を加えた物を面積当たりに均して、
㎡当たり4000円としましょう。

型枠は、42.88㎡(両面の面積)×4000円=171,520円

鉄筋は、t当たりの材料費を60,000円(時期によって大きく異なります。)と、
加工・組立・運搬手間を壁構造として、65,000円(規模によって異なります。)とします。

鉄筋材工で0.59t×(60,000円+65,000円)=73,750円

合計で、8mの壁の値段は、原価で、315,460円となります。

それに、ゼネコンの一般管理費(粗利)と、現場経費、仮設費用の合計を20%掛けると、
8mの壁の値段は、378,552円ぐらいでしょうか?

1m当たりに戻すと、378,552円/8m=47,319円/mが、
1m当たりの金額になります。

同じように、スラブを計算していきます。
先程の設定で、8mの戸境壁で、間口を3.2mと設定していましたので、
1部屋の面積を25.6㎡の部屋のスラブの値段を計算してみましょう。

スラブ厚さを0.18mとすると、
生コン数量は、25.6㎡×0.18m=4.608㎥
材量は、4.608㎥×14,000円=64,512円
打設手間は、左官も含めて、仮に30,000円としますと、
94,512円がスラブに掛かる生コン系原価となります。

型枠は、25.6㎡(実際には壁厚さ分引きますが簡便の為)とすると、
25.6㎡×4000円=102,400円

鉄筋数量は、4.608㎥×0.165t/㎥=0.76tとすると、
鉄筋材工で0.76t×(60,000円+65,000円)=95,000円
となります。

25.6㎡の部屋のスラブに掛かる原価は、
94,512円(生コン)+102,400円(型枠)+95,000円(鉄筋)
291,912円となります。

上記で、3.2m×8m=25.6㎡のRC壁構造の部屋の構造体に掛かる費用を計算していきます。
壁の長さは、3.2m×2+8m×2=22.4mなので、
全周りに掛かる壁の費用は、
22.4m×47,319円/m=1,059,945円

スラブと併せると、291,912円+1,059,945円=1,351,857円
25.6㎡の全て外部に接している、単独の部屋の概ねの費用は、1,351,857円となります。

ここで、全て外部に接している単独の部屋と、わざわざ書いたのは、
賃貸マンションで戸境壁がある場合、隣の部屋と壁を共有しているケースが殆どです。

長辺方向の壁を両方隣の部屋の接している場合、
壁の費用は、バルコニ側と、共用廊下側は、47,319円/mそのままの費用が掛かりますが、
長辺方向の壁は、隣の部屋と一緒に使うので半分の値段で済みます。

すると、両壁の隣に部屋がある場合の、25.6㎡の部屋の壁の費用は、
(8m+8m)×47,319円÷2+(3.2m+3.2m)×47,319円=681,393円
スラブ費用は変わりませんので、構造体に掛かる費用は、
291,912円+681,393円=973,305円なります

全て外気に接している単独の部屋の1,351,857円と比べると差額は、
何と、318,552円と、なります。
(上階の各部屋の構造体建設費に、杭・山留・土工事と、基礎の(配筋・型枠・生コン)工事の費用と、
各階の廊下・バルコニ・エレベータシャフト他共用部の構造費用の合計が、
建物の構造体に掛かる費用です。)

そして、この差額が、私が、前回の記事のように建設費の坪単価などの説明の時に、
何度も口を酸っぱく言っている

建物の形状によって建設費用は変わるから、積算してみないと一概に幾ら掛かるとは言えない
と言っている理由の一つです。
逆説的に言えば、同じ形状の建物で坪単価を比較しないと意味が無いということです。

要は、単独の部屋が多い形状の建物は、
建設費が高くなりやすく、
羊羹型のように、戸境壁を、各部屋で壁を共用している部分が多い建物の場合、
1部屋当たりの建設費や、坪単価は下がりやすくなります。

また、今回は、簡便の為、壁構造を想定して、計算しましたが、
ラーメン構造で、柱と梁がある建物の場合は、
柱や梁も、隣接部屋と、構造体を共用出来ているか否かが、
坪単価に与える因子として、重要になってきて、
更に、形状による建設費の差額は大きくなりますので、
次回は、ラーメン構造の柱、梁も含めて、シュミレーションをしていこうかと思います。

続きは、こちらの記事をご覧ください
RCラーメン構造とRC壁構造の建設費の違い 土地活用の豆知識②

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