狭小地の杭の検討と概算見積 土地活用の豆知識㉓ 

狭小地で、塔状の建物(ペンシルビル)を建設する際に、最も重要なのは、杭の検討です。

土地を買う時でも、地主様の仕事を受ける時でも、杭を打設できるかどうかを良く検討しなければなりません。

狭い敷地ですと、敷地内に杭打ち機が入れず(曲がり切れず)に、打設できなかったりして最悪、図面上で計画していた階数が構造的に、施工的に建設できない場合があります。施工出来ないとなると計画が大幅に狂い階数を減らすなど、事業収支的に目も当てられない状況になります。

そのため、特に土地購入段階、地主さんの企画段階から良く調査をしていく必要が有ります。

狭小地の杭の検討と概算見積について

設計事務所が例えば、11階建てのビルを『法的に』建設可能として、計画していても、本見積時になって、ゼネコンが、杭屋に打診しても、杭が打てないなんてことがあったら目も当てられません。

今も超狭小地(敷地の間口幅が狭いところで4m)で土地を購入以前の検討をしていますが、シビアです。

狭小地での杭打ち検討の流れ

杭打ちを検討するとき、まず最初にやらなければならないのは、近隣地盤データの収集です。まずインターネット上では、東京では、『東京の地盤』で、横浜市では、『地盤View』のサイトで、近隣地盤データを探します。

これで、超近くの近隣地盤データがあれば、それでよいのですが、周囲を見て支持層の深さが暴れている場合は、更に地盤データの収集を行います。

建設費コストダウンの㈱土地活用の場合は、ボーリング屋(地盤調査会社)、杭屋、山留屋の数社に近隣地盤データを送ってくれるように依頼します。何十年も地業工事や、地盤調査を行っている会社の多くは、過去にやった調査報告書を、収集してデータ化しています。

地業工事業者に関しては、見積をするときに、地盤データを収集していて、近所のデータを蓄積して、後の見積時の検討に季節ごとの数位なども含めて生かしているのです。

当社のような真剣に検討している会社にボーリング調査を入れられる前にの検討時に、近隣データを送って欲しいと依頼されることもあり、付き合いをしっかりしていればサービスの一環で近隣データを頂くことも可能です。特に、ボーリングをするために、解体が着工直前まで出来ない場合は注意が必要です。

同時に、現地にビルが建設されていて、過去の構造図が残っている場合は、杭伏せ図やボーリングデータが残っていないか、確認も行います。古い調査結果ではありますが、現地のボーリングデータは、心強い武器となります。

幾ら集めても実際の現地でボーリングを行ったら、特に坂になっている部分や、地盤が暴れている場合、近隣データと異なる結果が出ることがあることは、事業主は頭の片隅に入れておく必要は有ります。

その後、杭屋に、集めた、近隣地盤データを送って、施工可能性の検討と、概算見積を依頼します。

間口が狭い敷地では、6.4mの敷地で11階建てのマンションを建設したり、6.3mの敷地で10階建てを建設したりしているので、ある程度は施工できるかは解るのですが、奥行きが無かったり、深さがあったりすると、アースドリス杭で水槽を置いて、鉄筋カゴを釣込みようのレッカークレーン車を据え付るスぺ―スが取れなかったり、45mを超える杭になると、大型の杭打ち機が入れなかったり、諸々の問題は、信頼できる杭打ち業者に確認しなければ、施工可能性を判断できないことがあります。

以前の狭小地での検討では、支持層の深さが近隣データで暴れていて、35mの支持層の場合、現場造成杭は打てないが、21mの支持層であれば、現場造成杭は、打てるという結論に達したこともあります。当社でお付き合いしている杭屋さんは、社長の杭打ち歴50年超でスーパーゼネコン複数社や超大手の施工会社の下請けに入ってる、杭打ちのことなら何でも教えてくれる生き字引のような杭屋さんなので、その判断を貰えることは非常に助かります。

その杭屋さんが言うには、設計事務所や、ゼネコンから詳細検討を依頼されるが『最近は、物件の出物が少なく、狭小地での塔状ビルを建てたい土地が多すぎ、10件の検討のうち、2件は暗礁に乗り上げている。その中には、購入しちゃった土地もあるみたいよ。』という話をしていました。

流石に11階が建つと思って購入してしまった土地で、11階が施工的に建てられず、鋼管杭など既成杭で建てらる7~8階建程度にしかできないのであれば、事業収支は大幅に狂ってしまうので、事業主としては、死活問題になります。

BH杭といって狭小地向きの現場造成杭も併せて検討しますが、その場合でも、杭長さが深ければ鉄筋をレッカーで釣込まなければならないので、結局一緒の話となり、施工できないという結論になることもあります。

現場造成杭で施工できない場合の最終手段

塔状比と狭小地で、どうしても建設できない場合は、最終手段としては、困ったときは、ATTコラムです。

羽付き鋼管杭をセメントミルクを注入しながら打つ杭で、現場造成杭より若干高いですが摩擦力に強く狭小地で、塔状を建てるのに、どうにもならない時に適しています。但し、杭の間の距離を取らなくては行けなかったり、建物形状や地盤状況によっては、これでも建てられない場合もあるので、土地を購入前、又は、地主様の計画決定前には、概算見積による予算も含めて、先に検討しておく必要が有ります。

一般的な敷地での杭検討

これまでは、狭小地での検討でしたが、ある程度広い敷地の場合、概算見積段階では、杭業者に予算面では、いちいち聞かずに、近隣データと、過去の発注金額を実績データとして蓄積されていますから、それを目安に概算見積を提出してしまいます。

低層マンションで杭が必要な場合は、鋼管杭等の既成杭を使うこともありますし、都度、敷地と建物形状、地盤状況、コストを含めてベストな方法を検討していく必要が有ります。

また東京の山手線を半分に割った西側エリアでは、関東ローム層が出て、3-4階建てRC造程度で、あれば、杭が要らないケースもありますので、近隣データおよび、敷地内での現地ボーリングによる、地盤調査結果報告書をもって要検討ですね。

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