道路幅と道路容積率と建設費の土地活用の関係②土地活用の豆知識㉚

前回の記事、『道路幅と道路容積率と建設費の土地活用の関係① 土地活用の豆知識㉙』で、道路幅と道路容積率について書いてきましたが、いよいよ本篇の道路幅と建設費の関係です。

道路幅と道路容積率と建設費の土地活用の関係②

通行止め無しで中型車で工事をしたければ、どれくらいの道路幅が必要?

まず、生コン車の長さ、幅は、どれぐらいあるのかを知って頂きましょう。

  • 大型車(10-11t):幅約2490mm(積載量5㎥)
  • 中型車(7-8t):幅約2300mm(積載量2.8-3.2㎥)
  • 小型車(2-3t):幅約1880㎜(積載量0.8-1.3m)

程度です。

4m道路で2490㎜の大型車を停めたら、残り1510㎜しか無く一般車は通れないので、そのような道路では、基本的に小型車を使います。

4m道路でも小型車では、残り幅が2180㎜程度しかないです。

一般の乗用車で少し幅が広い車ですと大体1980㎜とかあるので、これでは道路に完全に生コン車が出ている場合は、通行は厳しいです。道路幅+500㎜(片側25㎝)程度は、余裕が必要ですからね。だいたい電柱など障害物があるので、こういう場合は、通行止めにするか、遠方から生コンの配管を道路上に転がしで工事をするしかありません。

道路が狭い場合は、計画段階では、近隣住民が、どう対応してくるか解らないので、生コン車、及びポンプ車が現場の中に片足でも突っ込んで工事できるように計画するなどしか確実に工事が出来るとは言い切れない場合があります。

設計事務所は何をする?

設計事務所は絵を描くだけで工事の事は全く考えていないところもありますし、配管転がしなど、そんなものはゼネコンが決まってからゼネコンに近隣交渉をやらせれば良いと考えている無責任な態度を取る設計事務所もいますが、工事が出来るような状態に近隣対応・説明・計画するのが、設計事務所や事業主の役割です。

配管を転がす場合でも、遠方の工事のために自宅前に、生コン車やポンプ車を停められたら普通嫌ですからね。

通行止めや配管を道路上に転がしでするには、警察に許可を取る必要が有りますが、だいたい、近所の関係する道路を使用する人達に了承を貰ってこいと言われます。また警察署の考え方によっては、土曜日のみとか曜日を制限してくることも有ります。

近隣住民との交渉は?

地主さんなど近所と仲良く付き合いをしている場合は、ご近所さんが快く、協力してくれる場合もありますが、だいたい近隣さんは、工事をされること音や振動の問題、作業員の出入りの問題を好ましく思っていない場合もあり、事業主が、お金を渡して我慢していただくなどで解決する場合も出てきます。

木造戸建て程度でしたら、そこまで過激に文句を言ってくる近隣住民も少ないとは思いますが、賃貸経営(つまり儲けるためにやる工事)でRC造や鉄骨造などを建てる場合は、若干の嫉妬心も含めて、誰かが儲けるための工事に「何で私が、我慢しなくちゃならないのよ!」という感情を抑えきれずに、剥き出しに向かってくる近隣住民もいることは確かです。うるさいのは嫌という気持ちも分からなくも無いですが、お金を渡すのでも、足元を見たりして、分捕ろうと考える人が出て来るのこともありますし。

事業主がお金を渡してというのは、原則ゼネコンは、そういうことには出来る限り首を突っ込まず、あくまでも事業主がお金を払うという立場を取ります。設計施工方式などで、超高い建設費を貰ってゼネコンが対策も全部やるというときもありますが、そういう風に建てたら、後の賃貸経営のローン返済で沈没するのは、事業主ですからね。

電柱や標識の位置、現場までの搬入経路で現場からの搬出経路の曲がり角を抜けて出れれるかにもよりますが、通行止め無しで中型車で工事をしたければ、前面道路幅は5mは欲しいところです。

原価の話

それでは原価の話にを進めていきます。

中型車と大型車は、生コン価格は、ほぼ一緒ですが、小型車は、単価ベースで㎥あたり2000~2500円程度上がります。
また生コン車が大型であれば、1台のポンプ車で1日150㎥ぐらいの生コンが打設できるのですが、小型車ですと1.3㎥ぐらいしか1台に積めないために、打設の数量が減り1日のMAXが50㎥ぐらいしか打設できない現場も有ります。

生コンが1フロアで例えば100㎥ある建物の場合、1フロアに対して通常は1回の打設で済むものを2回に打設しなければならず、垂直打ち継ぎ部を作るラス工事や、ポンプ車代(約7万円)、打設用の土工の費用(約12万円)、左官費用(約6万円)程度が1フロア打設事に余分に掛かってきます。ざっくり打設に関わる費用は1セットで30万円ぐらいなので、このような場合の5階建であれば1-5階で150万円ぐらい余分に費用が掛かることになります。

それでは、下記の添付の建物を例に、まず小型車で工事をせざる得ない場合と大型車で工事をした場合で原価及び建設費がどれくらい変化するのか事例として概算見積結果を見ていきましょう(図面上では大型車でいけますが、小型車で敢えて工事をするというイメージをしてください)。

※道路幅が狭ければ、道路斜線や道路容積率で、そもそも建たないだろう!とか、そういう論点では書いていないので、あくまでも小型車にしたら工事費がどれぐらいあがるのかイメージを掴もうと読んでください。

  • 中型車 1億6870万円(概算税別建設費)
  • 小型車 1億8070万円(概算税別建設費)

です。概算ベースで1200万円値上がりします。

直工事原価の値上がりは、750万円(生コン、土工事費、杭・山留搬入溶接費増額、小口搬入の値上がり)、警備員等仮設(現場経費に入れるゼネコンも)の値上がりが200万円、一般管理費の値上がりが250万円です。

工事費に対して、約7.1%の値上がりを概算ベースでは想定することになります。一般管理費(ゼネコンの粗利)の250万円の値上がりに関しては基本的にゼネコンは、あくまでも概算で、今の景気では、狭い道路の物件は安ければやりたがらないです。

私も元々現場監督上がりですが、道路が狭いと、大体が住宅地で近隣からのクレームも多いですし、精神的な負担が大きいから、出来れば、だだ広い敷地、道路で大きな物件を、ただ図面通りに建てれば良いだけが一番やりたいのです(大きい方が粗利総額も上がりますし)。

単純に搬出入の車両サイズによる原価の上昇もあるのですが、ゼネコンがやる気が出る金額(粗利)を用意しなければ着工できないので、ガードマンなどの仮設費用に加えて、一般管理費も上昇します。

本物件は、延床492㎡と、そもそも多くのゼネコンが、やる気が湧いてくる規模でもないので、もう少しMAXで500万円程度の一般管理費の増額を考えておいた方が良いかも知れません。

一般管理費の増額が500万円とすると、1億8320万円(概算税別建設費)なので、8.6%程度の建設費の値上がりとなります。

  • 道路幅と道路容積率、建設費の関係について書きましたが、如何でしたでしょうか?
  • うちの物件の概算金額が㈱土地活用のCM方式でやったら幾らぐらいなのだろうか?

と思ったら気軽にお問合せ頂ければ嬉しいです。


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