土地活用でマンションを建設する場合の、収支、採算性について書いて行こうと思います。
新たに、プランを入れたり、収支を入れたりするのは大変なので、去年、当社の、お客様が買おうとしていた、墨田区の、ボツ物件で、土地値を0円にして検討して行きます。
土地活用の収支比較
基本スペックは、
- 敷地面積:246.61㎡(74.6坪)
- 専有面積:989.76㎡(299.4坪)
- 延床面積:1217.04㎡(368.15坪)
です。
※9階建になっているのは、地区計画で、絶対高さが28mに抑えられているからです。
【建設費と、利回りの比較】
それでは、単年度の事業収支を組んでみましょう。
CM方式で建設した場合の事業収支は、こちらを、クリックください。
㈱土地活用のCM方式でやった場合の概算見積での建設費は、
3億0300万円です。
延床の坪単価で、82.3万円という設定です
(概算見積なので余裕は見ており、CM方式での本見積では、これより下の金額を目指します。)。
この場合、賃料収入は、月336.2万円、
年間賃料で、4034.34万円で、
CM方式で建てた場合の表面利回りは、12.067%と、なります。
仮に、土地活用で、
延床面積の坪単価100万円の場合の税別建設費は、
3億6185万円、賃料は同じとして、表面利回りは、10.354%
(坪単価100万円の短期収支は、こちらをクリックしてください。)
延床面積の延床面積の坪単価120万円の場合の税別建設費で、
4億4178万円、賃料は同じとして、表面利回りは、8.708%
(坪単価120万円の短期収支は、こちらをクリックしてください。)
となります。
比較表を作ってみましょう。
CM方式の場合 | 普通の施工会社 | 割高の施工会社 | |
税別建設費 | 3億0300万円 | 3億6185万円 | 4億4178万円 |
延床坪単価 | 82.3万円/坪 | 100万円/坪 | 120万円/坪 |
年間賃料 | 4034.34万円 | 4034.34万円 | 4034.34万円 |
表面利回り | 12.067% | 10.354% | 8.708% |
単純に、割高の施工会社で建てれば、
税別の建設費だけで、1億3878万円も高くなります。
割高の施工会社であっても、8.708%ぐらいでれば、
土地以外にも資産がある程度有れば、金融機関も融資するでしょうし、
建てられない事も無いでしょう。
しかし、これだけでは無く、土地活用は、普通は、
金融機関から融資を受けて返済して行かなくてはならず、
それを加味した長期収支を組んでいくと更に、差は開いて行くことが解ります。
長期収支グラフを見てみましょう
当社で使っている、ランドプランニングスタジオの土地活用向けの長期収支ソフトを使用し、
長期収支をざっくり入れてます。
パラメータとしては、複数ありますが、主だったところで、
路線価:400千円/㎡
賃料の年間下落率:3年目以降0.8%
元利均等返済金利:10年目まで0.8%、11年から30年目までを1.5%(変動)
ローン期間:30年
管理業務委託費:3%
を、他は一般的な管理費用や、仮ですが一般的な、修繕費用を入れていきます。
CMの82.3万円/坪の長期収支グラフです。
普通の施工会社の100万円/坪(延床)の長期収支グラフです。
割高の施工会社の120万円/坪(延床)の長期収支グラフです。
各グラフの見方としては、右上のグラフの紫色が、
単年度の税引後のキャッシュフロー額、
右下の折れ線グラフの紫色が、累積キャッシュフローのグラフです。
一番下の、坪120万円で建設した場合の単年度キャッシュフローの棒グラフの21年目以降は
マイナス、つまり、赤字になっている事は、注目していてください。
累積キャッシュフローの差額はどの程度?
30年目累積キャッシュフロー
CMで坪82.3万円:2億4600万円
坪100万円:1億9200万円
坪120万円:1億0500万円
返済総額
CMで坪82.3万円の返済総額:4億2792万円
坪100万円の返済総額:4億9932万円
坪120万円の返済総額:5億9232万
改めて、表にすると、多額の違いが有る事が解ります。
CM方式の場合 | 普通の施工会社 | 割高の施工会社 | |
税別建設費 | 3億0300万円 | 3億6185万円 | 4億4178万円 |
延床坪単価 | 82.3万円/坪 | 100万円/坪 | 120万円/坪 |
年間賃料 | 4034.34万円 | 4034.34万円 | 4034.34万円 |
表面利回り | 12.067% | 10.354% | 8.708% |
30年目累積 キャッシュフロー | 2億4600万円 | 1億9200万円 | 約1億0500万円 |
返済総額 | 約4億2792万円 | 約4億9932万円 | 約5億9232万 |
建設費が、割高で、借入額が増えると、返済額は増えて行く事も解りますし、
累積キャッシュフローの差も開きます。
これだけの莫大な差額を、普通に働いて、稼いで、
補填する事は、並大抵の努力では不可能でしょう。
一番下のグラフから、割高の120万円/坪の施工会社で建設した場合、
21年目から単年度のキャッシュフローは赤字に転換します。
21年目までに、累積キャッシュフローを蓄えていれば、それ以後の返済は、
蓄えていたキャッシュを、吐きだす事で、滞りなく進めることは出来ますが、
大概は、累積キャッシュフローを生活費や、様々なことに(無駄使い)に使っていくでしょう。
修繕費用は、シュミレーションの中に入れて計算はしていますが、
その時の、修繕費用を予測する事は困難ですし、空室率も想定より上がる可能性もあります。
良く、昔、土地活用しましょうと、営業マンにのせられて、マンションを建てたら、
返済が出来なくなって、銀行に差し押さえられて取り上げられた、
または、返済できないから、売却して、その時までの残債を返したら、
殆ど、手残りが無くなったと言うのは、このケースを言います。
当社のホームページや、ブログでは、
口を酸っぱくして、
「土地活用の成否は、建設費で決まる。」
ということを述べさせていただいております。
土地活用の最大リスクは、建設費が高く、融資の返済が出来なくなり、
土地ごと売らなくてはならない事です。
地主様には、先祖や、親が、残してくれた、土地という、
莫大な資産が産まれながらにありますが、
それを活かせるか、台無しにするかは、
単に知っているか、いないか、最低限の事を、学ぶ気が有るかの知識の差です。
世の中には、私のように、地主の子息では無い人間から見れば、喉から手が出る程、
欲しいような「土地所有と言う圧倒的なアドバンテージ」が有りながら、愚かな判断をして、
高い建設費で、土地活用をして、台無しにしている方々が、大多数であることが残念です。
別に、学ぶと言っても、実際に、細かい計算作業するのは、プロに任せれば良いのです。
事実が有るという事を知っているか、知っていないかを学ぶか、学ばないかの差であると思います。
そして、その結果は、普通に働いて回収するには不可能な方が多いほど、
莫大な差額を産み出します。