岸田政権になってから、特に賃上げの政策に舵を切られています。
以前の政権の頃でも、賃上げの方針はありましたが、一層顕著になってきています。
㈱土地活用は、CM方式を駆使することによって、建設費を10%以上削減する会社です。
ここに、政府の政策に逆らっているのではないのかという若干の葛藤が有りました。
確かに働いたら、賃金を上げて欲しいというのは、当たり前のことだとは思います。
私の父も、生前の若いころは、新日鉄の労働組合で活躍し、仕事以外で春闘だ、メーデーだといって色々な事をし活動の表彰などもされていました。
晩年は、ベトナムの工場で、工場長として、海外での経営者(正確には運営者)側の立場となり、ストライキを鎮圧する側に回っていたりしたようです。
1977年生まれの私が子供の頃に、1944年生まれの父の初任給の手書きの明細を見たことが有ったのですが、確か月の給料が1万円台後半ぐらいだったと思います。高度成長期に、物価も上がり賃金も劇的にあがっていく好循環の中で、私がこの世に生を受けたことは理解しています。
その後、物価は安定し、私も含めて若年の頃からインフレを経験したことがなかった世代が社会の中心となりました。
2023年の今、生活物価も含めて社会的にインフレが起こっています。それを補填する意味での賃上げ要求は、ある意味正しい政策判断かも知れません。
その中で、建設費の値上げは、他の業界のインフレペースを遥かに上回っています。
多くの建材・機器メーカーは、ここ数年で原材料価格の高騰などを理由に、値上げをしてきましたが、賃金を上げるという題目での値上げも含まれてきているように感じます。
昨年ガラスメーカーが固まって大幅な値上げをしてきて、『そこまで原材料の値上がりは無いはずだろう?』と、ガラス工事をしている専門工事会社に聞いたことが有りますが、帰ってきた答えは、『価格の値上げは、ガラスメーカー業界の長年の悲願だったので、このタイミングで値上げしたのでしょう。しょうがない。』という答えが返ってきました。メーカーからの建材の値上げは、下請専門工事を苦しめるだけなので、彼らにとってはメリットは無いのですが、世の中の値上げラッシュに紛れて、数少ないガラスメーカーは、合同して値上げに踏み切ったのだと思います。
地価や建設費が値上がりした結果として、どう反映されるのかと言うと、分譲マンション価格の値上げです。
それに釣られて、中古マンション価格もあがり、ここまでは2010年代から実証済みの出来事で、やがて賃料もあがっていくことなるでしょう。
賃料の値上がりは、新築物件においては、ここ数年でエリアによっては、既に起こっていると感じます。
少し前であれば、ちょっと強気すぎる、有り得ないという感覚の賃料で出しても埋まっていくエリアの物件を目の当たりにしています。
コロナ初期は、東京からの人口流出が有りましたので、顕著な値上げに踏み切りずらかった部分はあったかも知れませんが、コロナがひと段落して、統計上も東京に人口が戻りつつあり、今後は、地方からの人口流入もより加速していくことでしょう。
都心では分譲や中古マンションを購入するには手が届きにくくなった20代~40代の年齢層が、購入せずに借りるという選択をすることは増えています。
新築以外の賃貸マンションでは、借主側が圧倒的に強い悪法、借地借家法(時代に合わせて改正が望ましいと思っています。)があるので、更新では賃料は上がることは難しいですが、退去による回転時には、競争力のあるマンションでは、賃料の値上げも可能となり、徐々に都心の競争力のある物件から、競争力の無い物件へ、最終的には東京通勤圏の賃料上昇に、波及していく事になるでしょう。
そんな世相の中で、CM方式により建設費を相場価格より下げるという事は、今でも重要な任務と思っています。
今は東京ではリーマンショックの頃のような生活に困窮するような賃金で働いている職人さん少ないはずです。
ある程度の腕が有れば、大学を出ている大半のサラリーマンより、ずっと高給取りとの印象です(派遣労働の方よりはずっと。)。
特に2-30代では職人さんの方がずっと稼いでいるでしょう(親方や法人経営者になれば、大半のサラリーマンより更に稼いでいます。)。
私も、新卒からサラリーマンの頃は、相当なブラック企業で現場監督をしていましたので、初任給は16万円(総支給)ボーナス無し、最終年の29歳では800㎡超マンションの一人現場で所長をさせられて19万円(総支給)ボーナス無し(笑)で、働いていましたので給料を上げて欲しいという想いは、普通の会社にお勤めの方より良く解っているつもりです。
まともな生活や結婚などとても望めない賃金・労働環境でしたが、今となれば若年期にスパルタで様々なことを経験でき勉強にはなったので、良かったとは思っていますが。。。そこまで監督や建設業で働く人を低賃金で酷使してまで建設費を削減しろ!などと到底思っている訳ではないという理解の元で、様々な記事を読み進めていただければと思います。
相場より建設費を下げることによって、建設されるマンションも有るのです。要は仕事を供給しているのです。
現在、当社では工事中からCM本見積待ちまで、受託させて頂いた45億円(税別)近くの物件が、稼働していますが、その建築主様の大半は、相場の建設費より10%以上削減した当社の建設費でなければ、建設に踏み切っていないでしょう。
投資判断の中で、相場価格では、本来建設されることの無かったマンションを建設できるようにすることによって、当社は、建設業に仕事を供給し、建築主様からは感謝を頂くという社会的な役割を果たしていると自負しています。
健全な建築主の経営での中で、建設業は生きるしか持続可能性はないのです。
その事は、建設業全体が理解をすることが必要です。
当社が行っているCM方式では、職人さんたちが生活に必要な賃金までを減らす行為をしているわけでは無く、
建設に直接関係ない部分の間に消えていく莫大な予算を削除していく業務となります。
改めて、ここに、
『建設費が安くて何が悪い。』と宣言させていただきます。