事例2:絶対に負けられない土地活用
この土地活用案件が最初のお問い合わせを頂いたのは2011年1月頃でした。
その年の3月11日に東日本大震災がありました。
お客様は、当時転勤で、仙台にお住まいになられており、とても心配でしたが、新築どころでは無い状況で、この案件は暫く着工することは無いだろうと思いました。しかし、4月頃にお客様の状況が一段落すると、計画を進めたいとの、ご連絡がありました。
当時の状況は、混沌としており、私もこの案件を受注できなければ、事業継続が不可能になるほどに追い込まれておりました。ライバルは2社の誰でも知るハウスメーカーです。
絶対に負けられない戦いでした!
ハウスメーカーは、「鉄骨で1億5000万円」程の見積を出しているのをお客様が教えて下さり、私のご提出した鉄筋コンクリート造の概算見積は「1億1700万円」程度でした。
ハウスメーカーの計画予算で建てた場合、折角、東京の良い場所に土地を所有していたのにも関わらず、十分な活用ができずに、目の前にいるお客様の資産が大いに毀損してしまいます。
一方で当時は、今よりも実績も知名度も少なくはありましたが、提案する計画・建設費と内容、そして一番は気持ちで絶対に負けない自信がありました。
生きた心地がしなかったお客様ご面談
ある土曜日の朝、お客様にご面談に伺った時、我々の後に、競合している2社の面談をするということで、ご自宅を出る時に、別の会社の営業マンが待っていて入れ替わりで、自宅の中に入っていきました。
今となれば、笑い話ですが、生きた心地がせずに、何かあれば直ぐにでもお伺いして説明対応できるように、近所の喫茶店で待機しました。
17時を回った時、近所を設計事務所と一緒に歩き回りながら、お客様に様子を伺いに電話を掛けてみました。その時は緊張により電話を持つ手が震え、声も上ずっていたと思います。
結果としては、「越川さんに、任せてみたい」と仰って下さいました。心の中でも身体でもガッツポーヅです。
しかし、受注した瞬間に、重大な責任も発生します。
私の算出した概算金額内に予算を納め、私を信じて頂いたお客様の御恩に報いなくてはなりません。
CM方式で、本見積をした結果として、1億580万円で請負契約を締結し、お客様には大満足して頂ける建物をお引渡しすることができました。
受注したゼネコンの現場所長も、「この価格で、これだけのマンションが建ってしまうことに驚いた。」と、仰っておりました。
この土地活用案件を携わらせて頂けることにより、自らが取引先と共に壁を乗り越え、お客様に特別な価値をご提供し喜んで頂くことが、自分が建設業を選んで、何よりも求めてきた仕事なのだと改めて実感しました。