誰の為に建設するか?㈱土地活用代表の呟き

『誰の為に、建設するか?』

との問いに、私の答えは建築主の為』にです。

土地活用でマンション建設に関わる方々には様々な方々がいらっしゃいます。

・設計事務所
・ゼネコン
・専門工事会社
・不動産会社

『誰の為に、建設するか?』私の想い

①設計事務所

一度に話すには長すぎるので、まずは、設計事務所から書いて行きます。

基本的に設計事務所の職員や代表者というのは、どのような方々か?
大部分が、学生時代、建築家に憧れ自分の作りたい空間を作ることを夢見てきた方々です。

私も別の道を進みましたが大学生のころは、安藤忠雄に憧れていました。

中には自分の作りたいものだけを設計して生きていける天才肌の建築家もいらっしゃいますが、社会に出て、自分の作りたいものを作っているばかりじゃ飯が食えないということに気付き、大規模公共事業のコンペも少なく一夜にして、スター建築家になれるような時代でも無い現代で、ディベロッパーや賃貸マンションの設計を飯を食うためにやられている方も多いと思います。

基本的に設計事務所は、本心では建設費を下げることには、それほど興味はありません。

心の奥底で、やりたいことはコルビジェや安藤忠雄になりたかった・・・

無限の予算で好きなものを作りたいのですから。

私が、お会いした設計事務所の中には、「コンストラクション・マネジメントの仕組みは、建築主の為になることは良くわかった」

だけど・・・口ごもる方はいます。

  • 「ゼネコンからバック貰ってるから建築主を紹介できない」
  • 「仲のいいゼネコンが一生懸命営業してくれるから、取らせてあげたい。」
  • 「他のゼネコンが見積図面が欲しいといっても渡してない。」
  • 「施主が相見積取っても仲いいところに取れそうな金額を教えたりしている。」

見抜けます。その気持ち。

ゼネコンから、先生!先生!と居酒屋やキャバクラで接待も受けてるでしょう。

設計事務所が、建築主の為に、建設するので無いのであれば、設計事務所には、建設費を安くするメリットが無いのです。

余談ですが、私は、殆どゼネコンと飲みに行く事は無いですし、現場監督と稀に暑気払い等で飲みに行ったとしても、基本的に私が支払います。昼食を食べた時に、どうしてもと、お会計を取り上げられて、ご馳走になるときも有りますが、気持ちいいものだとは思っていません。

建築主が知らないところで、お抱えのゼネコンに発注する為に、取引の関係性の無いゼネコンの見積の門戸すら閉ざされている場合もあるんです。

もちろん建築主の為にゼネコンに門戸を開いている設計事務所もいらっしゃいますが、基本的に、ちょっと単価を交渉してみる程度です。

中には明らかに予算の1.5倍以上の設計図面を書いて、「出来るゼネコン探してくれ!」とか素人みたいなこと言ってる設計事務所もいらっしゃいますが、低調にお断り致します。

設計事務所は、実は建設コストについて全然、強くはありません

何故なら下請専門工事会社と取引無いのです。

  • 「建設費の原価がわかる訳ないじゃないですか???」
  • 「原価も知らずにどうやって交渉するんですか???」

ほんとに建築主の方を向いて、お仕事をされているか、設計事務所のスタンスを確認するために「コンストランション・マネジメントの仕組みってどう思います???」と聞いて見て下さい。

「信頼できるゼネコンを使いたい」といったら、バックを貰っているか、単に楽をしたいだけかもしれません。

ゼネコンを監理するのは、設計事務所の仕事です。設計業務の契約書に監理料って入ってますよね。

新規ゼネコンを監理できないなら、単に能力不足です。

「私は安く、きちんとした仕事をするゼネコンに建てて貰いたい」と伝えましょう。

品質で悪い評判のたつゼネコンなど今の時代まで世の中に生き残っていられる訳がないです。その設計事務所の狭い世界以外にも、きちんとしたゼネコンなど世の中に幾らでもありますから。

②ゼネコンと、専門工事会社の仕組み

それでは、建設施工関係者のゼネコン仕組みについて話しながら「コンストラクション・マネジメントの仕組み」についても話して行きましょう。

ここで私が、ゼネコンと言っている会社は、施工主体にやっている会社で、私は、ハウスメーカーは、分けて考え、営業マンを膨大に雇って、ローラー作戦で営業している会社は、土地活用営業会社と呼んでいます。

建設費的には、「土地活用営業会社=ハウスメーカー=大手ゼネコン>地場ゼネコン>CM会社の交渉済みの金額」と言う感じです。

当社が10%~18%コストダウンと言っているのは、世間的には、元々ある程度安い、地場ゼネコン(区の中学校とか都営住宅を作ったりもしている会社)の見積金額から下がった比率を言っているので、土地活用営業会社=ハウスメーカー=大手ゼネコンの金額から比べたら20%~30%は安いです。

私は、東京理科大学の大学院卒業と同時にあるコンストラクション・マネジメント(CM)も扱うゼネコンに入社しました。CM方式、こそ建設業の進むべき道だと信じたからです。

そのゼネコンは、ちょっと変わったゼネコンで入社してから2年ぐらいは、派遣社員として他のゼネコンに丁稚奉公に出されます。(あまりの社員の扱いの酷さに会社に、派遣から無事、会社に帰還できたのは新入社員17名中の私1名だけです(笑))

私は、その丁稚奉公時代に、

  • まず当時1部上場の新○組様でマンション1物件。
  • 次に名古屋の雄の1部上場、矢○建設様で工場とマンションの2物件。
  • 最後にスーパーゼネコン、清○建設で耐震改修の2物件。

幸い現場の社員の皆様に、自社の社員と同じようにとても暖かく教育して頂き、全てのゼネコンから内に来いと、お誘い頂きました。

この2年半で現場監督として必要な全てを叩き込まれました。当時は、派遣社員と馬鹿にされることが悔しくプライドが傷つきましたが、今となって何故、会社が新入社員を派遣に出したか、やっと理解できました。日本の最高レベルの施工管理を知るためです。

大切な思い出です。

ゼネコン・現場の実態

さて、そんなこんなでゼネコン・現場の実態とは・・・

CM方式を、ご説明する際に、皆様、品質、品質と言われますが、大きな現場で、実際に品質管理の最前線で体張ってるのは、体力がある若い監督です。

品質管理の最重要項目は、躯体。配筋検査と、生コンクリートの強度です。

配筋検査は、、、

  • まず、鋼材の搬入時にミルシートとロールーマーク(鉄筋についてるマーク)の確認
  • そして鉄筋屋さんが配筋終わった端から、鉄筋屋による自主検査。
  • その後、ゼネコン職員が全数検査ながら配筋写真をとって回ります。

これは、大きな現場では、もの凄い体力がいって大体20代の若い監督の仕事です。(小さい現場なら年配の監督が写真撮影まで、やることもありますが)

このあと、構造事務所(場合によっては意匠担当)による配筋検査。更に、階数により確認審査機関による検査(第三者機関の保証が入る場合には、そちらの検査)

ただ、全数検査をするのは、鉄筋屋と、(若い?)現場監督だけです。

そして、その全数検査後の検査は設計事務所と、役所が20箇所ぐらい抜き打ちで本数検査をするのと、カブリや結束等、悪い箇所の指摘をしていきます。

どんなに手間賃の安い鉄筋屋を使う場合でも、品質を最前線で管理するのは現場監督の仕事。

建設業界では常識中の常識です。

ただそれは、安いからとかスーパーゼネコンだからとかそんなことは、全く関係ない話です。

40年以上前の緩やかな時代には、あったという話は聞いたことはありますが、今の時代、現場監督で品質に関して、わざわざ手抜きをする事により安くあげようなんて監督など、絶対的に存在しません。皆、一生懸命に品質を守ろうと日々努力を重ねています。

構造的に、手抜きをしたところで大して安くなることも無いですし、それ以前から厳格に検査、管理をしてきたうえで、姉歯事件を目の当たりにして、そんな馬鹿な事を、しようとすら思いません。コンプライアンスの遵守が当然のこの時代、そんな馬鹿な事してたら一瞬でゼネコンごと吹っ飛びます。リスクが高すぎて誰もやりませんよ。

ゼネコンは、どの専門工事会社に安く発注しようと、必ず、確認申請図面及び、設計図書に添った品質で施工します。それが出来ないゼネコンは既に絶対に潰れています。

請け負った建設費内で赤字にならずに品質を管理できるようにCM方式によるコストコントロールが、あるのです。そして設計事務所は、自らが書いた図面どおりに現場が納まるように、施工者を監理することを、まずご理解下さい。

以前にも、お話しましたが、土地活用をする建築主が、ゼネコンに普通に見積取っても、ゼネコンの見積書は、原価を絶対見せません。。。

ゼネコンは、出来る限り建設費を高く受注したいのです。

良い建築を建てたいというベクトルは、建築主とゼネコンは、一致しますが、建設費に関しては、建築主とゼネコンは完全に真逆のベクトルです。

営利企業なので、当たり前の事ですが、この当たり前を理解出来ていないことは、如何に多い事か。

そして、建設費を高く受注したいという行為は、建築主の為に建てるという本質を麻痺させていきます。

営業マンは、出来るだけ高く受注することを会社から求められ、
現場監督は、施工のプロフェッショナルとして、
クレームの出ない建物を引き渡せるように努力し、品質管理していますが、
同時に与えられた予算内で利益を上げるという役割も担います。
将来的な収益性について、収支を理解したうえで、建設している訳では無いです。

ゼネコンが図面から見積もる場合、会社にもよりますが、
積算で数量を拾って、杭とか設備とかは、下請からざっくり見積を取りますが、
過去の実績・経験則から単価を入れていきます。

そして、営業マンが建築主と交渉して受注に繋がったら、請負契約を締結し、
購買部なり、現場所長なりが下請専門工事会社に細かい見積を取り、
予算と照らし合わせながら交渉していきます。

ゼネコンに、赤字で受注させちゃえば、CMなんか使わなくても安くなるんじゃないの?

そう思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、
別に赤字で受注してもらわなくても、
CM方式を使えば、10%以上の建設費を削減できてしまいます。

10%以上の赤字が出るほど、
ゼネコンも、そこまで無茶な赤字受注はしません。
今の建設業好景気では、ゼネコンは、きっちりと利益が確保できる見積金額しか出しません。

仮に、万が一に、ゼネコンが、何かの見積ミスで、大赤字で受注して建設した建物が、
あったとして、それを引渡しを受けて嬉しいと思えますか?

CM会社の本見積と争ってまで、一般見積で受注しようというゼネコンは居ません。

何故なら、CM会社の入った物件ではCM会社の力を借りなければ、
大赤字になるの目に見えてますから。

私が、CM方式を愛し続けているのは、建築主、施工会社、下請専門工事会社、職人さん全てに、メリットがあり、
利益を享受できる仕組みだからです。

なぜCM方式は、建設費が安くできるの?

では、何故CM方式では、関係者の皆が利益を生み出すにも関わらず、
建設費が安くなってしまうのでしょう???

答えは、専門工事会社のコスト競争力です。

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ゼネコンが受注した場合、まず、これまで取引のある下請専門工事会社から見積を取ります。
そして予算に合うように下請専門工事会社と交渉します。

下請専門工事会社とは、杭屋、鉄筋屋、型枠屋、金物屋、タイル屋、電気屋、設備屋・・・などという
専門的に細分化された分野だけを本業として、職人を抱え、重機を持ち、現場に乗り込み、
ゼネコンの下請けとして、細分化した分野だけを担う会社です。

ゼネコンは、建築主から工事を受注した後に、その下請専門工事会社を束ねて、施工管理を行います。
ゼネコン自体は、多くの場合、現場に常駐するのは、現場監督のみで、直接職人を社員として抱え込むということはしません。
これが、日本の建設業で培われた制度です。

建設業では、この下請制度が強く、ゼネコンは、下請協力会という物を持っていて、
その協力会に入っていない専門工事会社は、ゼネコンから見積依頼が来ることは、まず無いです。

日本の全ての、下請専門工事会社は、何処かのゼネコンの下請協力会に絶対に入っています。
下請協力会に入っていない限り、見積依頼が来ることが有る訳が無いので、
当然にして何処かのゼネコンの下請け協力会に入らざるを得ないのです。

A型枠工務店は、Bゼネコンと、Cゼネコンと、Dゼネコンの下請け協力会に入っていて、
メインはBゼネコンだという風な感じです。
新規の専門工事会社が新たなゼネコンの下請に入るのは相当難しいです。

そして、ゼネコンが、下請協力会の中から見積を取っている
専門工事会社が必ずしもコスト競争力があるとは限りません。

建設コスト削減の提案スパイラル用_04

 

実際にCM業務を行ってみると、
専門工事会社のコスト競争力には相当な開きがある事が判ります。

例えば、ある1工種についてゼネコンの下請けの金額と比較してみると
1500万-1550万-1600万-1800万-2200万
といった具合の分布ですかね。

CM方式でゼネコンの下請けの金額に、
勝てる専門工事会社が、当社の取引先として残っていますが、
大半が、大手のゼネコンの下請けになっている会社です。

大手のゼネコンの下請けは、地場ゼネコンの下請けと比べて基本的に元々単価は安いです。
何故安いかと言えば、鍛えられているのと、膨大な発注量があるので、建材の仕入れコストも安く、
職人さんが、仕事が途切れる事が無く支払も確実だから人工の単価も、仕事が途切れがちな下請専門工事会社と比べ、
抑え込めるのです。

職人さんからしたら、仕事が途切れるような専門工事会社より、単価が多少安くても、仕事の途切れない、
下請専門工事会社の言う事を聞いた方がメリットありますからね。

上記のような分布のような金額であれば、
例えば、1470万円で見積が出せるCM会社が連れてくる下請がいれば、CM側の下請は、
普通に受注出来、CM会社としても、元々安い下請専門工事会社を取引相手としているだけで何も無茶ぶりをして、
出来もしないような単価で、工事を押し付けているわけでは有りません。
今の時勢で、赤字で請負うような下請専門工事会社など要る訳も無く、金銭的な、又、長期的な視野にたった、
ゼネコンの新規開拓と言うメリットがあるから、CM方式の見積に参加して
受注して、喜んで施工しているのです。

建設コスト削減の提案スパイラル用_02

CM会社は下請専門工事会社を別に叩きはません。
受注できるように、ゼネコンとの比較金額は伝えますが、
「きちんと利益が出る最終金額を出して下さい」と伝えるのみです。

全くの新規専門工事会社が、
「うちは安さには自信がある」と見積参加しても、歯が立たず滅多に受注に繋がりません。

CMに参加する専門工事会社も単価が物凄く利益がでるわけではないと判っていても
利益がのる最終金額を入札してきます。

ゼネコンの方も、
1:新たな専門工事会社を開拓しようとするゼネコン
2:今までの下請制度の中でやっていくんだというゼネコン
の2つに分かれます。

CMに参加するゼネコンは、当然1の方で、
割合としては4:6といった感じでしょうか???

2の古い考えの建設関係者は何もそこまでする必要があるのか?
と、お思いになる方もいらしゃるかもしれませんが、
建築主様から御紹介を受けて新規のゼネコンにCM方式での見積依頼の為に、説明に行く時は、私から出来るだけ、
地場ゼネコンの役員、又は社長、専務クラスの上席の方に説明すると、多くの場合、理解頂けます。

逆に、主任、課長クラスの営業マンに説明して、そこから、
上席に話が上がると、ダメでしたーという答えが来ることも有ります。

私もサラリーマンをやっていましたが、何処の会社も、そんなもんですね(笑)

CM方式という考え方は、アメリカで建設資材が高騰し建設費に押さえが効かなかった時に、
自浄作用的に生まれた手法で、
ニューヨークの旧ワールドトレードセンターが、この手法を流行させたモニュメントだったそうで、
今やアメリカでは全く一般的な発注手法です。

誰のために建設をするかを、考えた場合、まず、建築主の為に建てる事は、
明確であり、それを、全てのベクトルを一致させて、自分の土地を活用し、
自分が建築主であれば、このように建てるという方法で、
土地活用のオーナー様と関われる、
稀有な職業であることを誇りに思います。

 

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