昨日のブログでご紹介した『鋼材価格 鉄筋価格と建設費(土地活用統計)』の記事が反応が多かったので、今日も調子にのって記事を書きます(笑)
【概算見積と本見積】
事業主は、新築計画をする場合、事業計画を理解し、多くの場合、金融機関に概算見積を含んだ事業計画書を提出します。
勿論、素人のお施主様が、事業収支や、概算見積を作れる訳がなく、施工会社や、設計事務所に作って貰う。
設計施工方式は、業者の見積書が、そのまま概算見積ではなく、本見積である場合が多い。簡単なボリュームプランを元に、細かい積算内訳書を付けず、『総額、4億円です!3億円です!』と、施主と交渉し、工事請負契約まで持ち込む。
事業主は、最も頭を使う必要が無く、事業主が契約をする気になれば、簡単に契約は締結される。設計施工方式は、どのゼネコンも、まずは、その形態での営業活動による、請負契約を目指す。
何故か?答えは、簡単で、『儲かるから』です。
設計施工方式しか、やらない会社も存在する。私が完全否定する、大量の営業マンを雇った土地活用営業会社です。
概算見積レベルで金額を出しても、絶対に、絶対に、損はしない確実に利益がたんまり出る金額しか、事業主には、提出されることはありません。当然、企業活動をするうえで、施工会社側も儲からなければならないのは理解できます。
しかし、事業主側にとっては、過度な儲け、不必要な経費は避けなければならない。
何度も口を酸っぱくして言っていますが、ご紹介したブログ記事『究極の土地活用とマンション建設費とデットクロス』や、『土地活用の収支比較!土地活用の最大のリスクは建設費が高いこと!』を読み込んでい頂きたいです。
前置きが長くなりますが、今日は、概算見積の話をメインにします。
設計事務所と業務委託契約を締結する形態の、『設計事務所相見積形式』では、普通、多くの設計事務所は、ボリュームチェック図面から、ゼネコンに概算見積を依頼する。
ディベロッパーなどのプロの不動産業者の場合は、開発担当者が、ボリュームチェック図面を取引ゼネコンに送り、採算性の目星をつけることを行います。ボリュームチェック図面とは、↓のような、部屋の面積を法令制限と採算性から検討した、図面です。
基本的に、概算見積は、施工会社の営業活動の一環です。
施工会社は、詳細見積図面(約150ページ)がそろった本見積に参加する権利を得るために、ボリュームチェック図面(2ページ~5ページ程度の図面)での概算見積を協力し、提出します。
本見積は、生き死にの掛かった安く出しすぎる事のできない、本気の見積ですが、概算見積は、本気度は低い見積です。
常識的に、概算見積は、無料です(当社も、概算見積は無料です。)。
本見積は全ての図面が揃った段階での、見積ですから、項目落とし、積算ミスをした場合、即赤字に直結しますので本気で見積をするしかありません。本見積を安く出し過ぎることは、企業経営上のリスクに即、繋がります。
一方で、概算見積は、あくまでも事業主と設計事務所が工事費の目星を付ける目的と、施工会社は協力することにより、見積に参加する権利を得る事を主目的としていますので、概算見積は、安く出しても、仮に間違えて提出しても、施工会社は、痛くもかゆくもないです。
後で、概算レベルの間違えに気づいたり、安く出しすぎたとしても、勝負は本見積であることが建設業の暗黙のルールだからです。
例えば、概算見積段階で、2億円で提出したものが、本見積段階で2億5千万円で提出しても、施工会社側に、何の責任も無いし、それで事業主が事業計画の組みなおしで困ろうが、そんなことは知ったことではないのです。受注しなければ、良い(工事請負契約を締結しなければ良い)だけですから。
そもそも、実際は、上記のような簡単な、ボリュームチェック図面から、詳細な図面が無い段階で、詰めた見積など不可能なのですから。事業主は、傾向として概算見積は、実際の本見積安く出てきやすいということを頭に入れておくべきです。
概算見積の方法として、各施工会社によって、算出方法は、まちまちですが、延床面積、施工床面積、専有面積のみによって、超ざっくり算出している施工会社も多々あります。
延床面積が300坪だから、坪130万円の3億9000万円(税別)で出しておけー!みたいな感じの荒い見積をしている会社も多々あるようです。
㈱土地活用の概算見積は、私が全てやっていますが、躯体に関しては、型枠と、生コン数量は、簡単に積算し、そこから建物形状に応じて、鉄筋量を予測し、杭に関しても想定杭径に応じて過去の発注実績値により予測してタイルも、実数を拾っているので精度は高いです。
内装や、防水工事他に関しては、平均専有面積や、住戸数、床面積によって過去の発注実績値から独自の算出方法をしていますので大きく狂うことは、今の暴騰しない建設費相場の中では、無いです。
当社の概算見積に関しては、一旦、生の数字を算出した後は、幾らで、提出するかは、鼻を効かせて、よく考え、安すぎず、高くなりすぎず、実際の本CM見積をしたときに交渉できるであろうと思っている金額より少し高めに、お施主様には提出しています。
概算見積を安く出しすぎて、CM業務委託契約を締結することは簡単ですが、後で、予算オーバーすると、銀行への再説明や、調整が大変面倒だからです。もちろん、お施主様が安く工事請負契約を締結できるよう精一杯に金額交渉は頑張るのですが。
CM方式で、本見積をして予算オーバーで着工できないなどということは、これまで一度もないですが、ほんと、CM契約を受注すると本見積ではキリキリ、バチバチ、ゴリゴリした交渉となるので、過度なプレッシャーは受けたくないというのが本心です。
当社にも、概算見積段階と本見積との金額が全然違うから助けて欲しいという、お問合せが良く来ますが、その辺を良く理解をしたうえで、概算見積や事業収支に向き合って頂ければと思います。