建設費高騰が叫ばれる中、社会情勢は刻々と変化しています。
先月末に、最新の着工統計が、国土交通省から出ましたので、建設着工戦線以上あり!建設費への影響は?統計予測
の続きの記事を建設費交渉の最前線に立つ専門家として、書いていきます。
前線にいない、素人さんがチャットGPTでも使って書いたかのような、アクセス数稼ぎの、まとめ記事も見受けますが、そういう記事を読んでも、最新の建設業の情勢はつかめないと思いますので、全ての建築主様に読んで頂きたいです。
本来であれば、需要を消滅させることは、自分の首を絞める事になりますし、建築主や元請を無下にせずに、丁寧に受注していくことになるので、建築業者やメーカー側も情報は掴んでおくべきだとは思いますが。
建築主側も無尽蔵にお金を出せるわけではありませんし、賃料転嫁も限界になりつつあり、採算が合わなければ建てる理由も無く建てなくなるだけです(岸田元首相は、これが全く解っていなかった。)。
下記は、首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)でRC造、SRC造の着工面積を各月から前6カ月分と、前12月分を合計したもののグラフとなります。
最新の統計は、2024年8月発表ですので、前6カ月とは、2024年3月~8月の着工面積の合計が2024年8月の数値としてカウントされ、前12カ月とは、2023年9月~2024年8月の1年間の着工面積の合計が、2024年8月の数値としてカウントされます。
上記の前6カ月の数値は、2年前のピーク600万㎡から、最新では、417万㎡まで下落しています。
上記の前12か月統計を見ると、最新では、1年間で900万㎡を割り込み、899万㎡をカウントしています。
2年前のピーク時1129万㎡から230万㎡=20%下落しています。
全6カ月が、417万㎡なので、単純に2倍すると、830万㎡となり、今後も低調な着工面積が続くと、
年間着工850万㎡も、後2-3カ月で見えてきてしまいそうです。
上のグラフで850万㎡まで下落するとインパクトはかなり強く感じると思います。
先行性の高い、鋼材価格も、こちらの記事のように、引き合いが弱く、少しだけ下がり気味にはなってきました。
まだ全体の建設費として実感するほどでもないですが、鋼材価格が下がっても誰も困らないので、もっと下がって欲しいと思います。日本の国内需要建設も弱いし、一番は、中国の建設・不動産の景気が悪すぎて、建設鋼材の原料となる日本のスクラップ(くず鉄)の価格が伸びていないのも上がり止めの原因なのだと思います。
以前のスクラップ価格が上がっている時は、中国が買い占めてると散々言っていましたのですが、その中国は勢いは有りませんので、スクラップの買取価格は単純に下がっていくだけだと思います。
電炉メーカーは、エネルギー価格や輸送費の値上がりを価格転嫁したいのでしょうが、今の着工面積を見ていると、大口需要家からの値下げ圧力は強まるでしょう。
鉄の価格は、通常時の倍近くあって、リーマンショック直前も今の水準ぐらいまで上がった後に、暴落して戻ったのですが、同じように、元に戻る事を期待しています。
一方でセメント価格などは、今春の時点で来年値上げをすると大手メーカーが発表していますが、円高にも振れだしてみますし、スーパーゼネコンを筆頭に大口需要家からセメント⇨生コンの値上がりを極力抑えるよう価格交渉は入ってくると思います。
生コン等は、組合が強く、各都道府県のエリアごとに単価を統一してくるので、一般の小口需要家では、まともに交渉になりません。
生コン組合が独占禁止法の違反とならないのは、協同組合法というのがあって、日本の全国の田舎でも工事をするときに生コンが入らないことにならないようにという国土保全という意味合いがあるそうで確かに解るのですが、セメントが値上がってるのも有りますが、それでも値上げ圧力は凄いですね。
元々の発端は、セメントを作る燃料である石炭が半分ぐらいロシアから入っていたのが、ウクライナ戦争で、禁輸になって石炭燃料価格が暴騰したのが原因なので、世界中に迷惑かけまくるプーチンが恨めしい限りです。
そんな中で、中野サンプラザが建設費増額で、着工を見送ったことや、TOCビルのように、着工を見送る大型計画は、今後多くなってくるでしょう。
中野サンプラザは、野村不動産以外に、中野区の税金も入れないと着工できないようで、何千億円も税金投入するなら、他の福祉や教育に税金を使った方がマシという判断になって来るでしょう。
石破政権が、立上り、直ぐ解散総選挙。
ネットでは大批判が展開されているので、自民が大勝はないでしょうけど、自民が辛勝しても、立憲他が勝っても、増税、緊縮財政派が中枢ですので、国内事情だけでも先行きの不透明さが増してきました。
それに加えて、アメリカも経済は怪しく、大統領選挙と政治も世界情勢も混迷しています。
イスラエルも、周辺国に喧嘩売りまくって、2020年までの平和な時代が懐かしく思います。
大型物件を建てるディベロッパーは、もう取り掛かった再開発は、時間を掛けながらやるかも知れませんが、
新規用地仕入れは、普通に考えたらリスクが高すぎ、一旦は停止する動きが出て来るのではないかと思います。
私が、あまり下がる下がると言っても、酷いやつと思わるのも嫌ですし、神のように全ての起こる事を予測できるわけでは有りませんので、建築主様は、これらの統計・情勢を見て、自分の頭で、今後、どうなるだろうと、考えて頂ければと思います。
一方で、有難いことに、当社は、最近、爆発的に、お問い合わせが増えて、工事中・見積中・計画中の案件で、気が付いたら昼飯抜きの時もチラホラあるぐらい忙しくさせて頂いております。
問合せを頂いてからも、着工まで、計画やら融資打診、解体、設計、見積など、半年・一年と時間がかかりますからね。
お客様は、宅建業の方が大半で、相続対策の地主様も多いですが、何となくですが、最近は、相続が終わって放っておくのが勿体ないからという、お問い合わせが多いように感じます。
祖父母や、親が存命期間中に、本当は相続対策をしたくて、ネット上で、当社に目を付けていた方でも、様々な事情により建設に踏み切れず、相続手続きが済んだ後に、建設するというパターンも増えてますね。
首都圏の延床700㎡以上のRC造が一つの目安となりますが、建設費でお困りの建築主様は、お気軽にお問合せ頂ければ有難いです。