前回、ご紹介した記事、『RC造で壁8mの建設費は、幾らか?土地活用の豆知識①』に続いて。
ラーメン構造での建設費について、壁、柱、梁の隣接する部屋との共有と、単独の部屋について、それぞれ計算し、最後に壁構造との構造体に掛かる建設費の比較をして行きましょう。
(単価は、時期によって異なりますが、前回と同じ条件で計算し、構造体の断面は有りがちな断面を想定して計算します。)
RCラーメン構造とRC壁構造の建設費の違い
まず、ラーメン構造とは、原則、柱と梁で構造体を持たせて、
柱の間に壁が入って、梁にスラブ(床)が乗っている構造で、
6階以上になると有無を言わさずラーメン構造になります。
5階建て以下は、壁式構造を採用する事が可能で、
壁とスラブ(床)で、構造を持たせる方式です。
建設費は、壁式構造の方が安いです。
5階以下でラーメン構造を採用する場合も有りますが、
1階に店舗や事務所など、壁の無い大空間を作りたい場合は、
低層の建物でも、ラーメン構造を採用します。
図で書くと、下記のような感じです。
このような図面の建物について、前回のように構造体の建設費を計算して行きます。
まずは、左側の単独の部屋からです。
柱の断面は、簡単にするため800角として、梁の断面は600mm(幅)×700mm(成・高さ)として階高は、
前回と同じ2.86mとします。
梁1本、1mの金額を算出して行きましょう。
生コンは、0.6m×(0.7m)×1.0m=0.42㎥
生コン単価は前回と同じ14,000円/㎥とすると、
梁1m当たりの金額は、0.42㎥×14,000円/㎥=5,880円
と、なります。
上の図の左側の単独の部屋のバージョンの場合、梁は16.72m有りますので、
16.72m×5880円は、1部屋で、98,313円
型枠は、1m当たりの面積は、(0.6m(幅)+0.7m(高さ)+0.7m(高さ))×1m=2㎡
で金額は、前回と同じ㎡単価とすると、
2㎡×4000円とすると、8000円と、なります。
1部屋で梁型枠は、16.72m×8000円=133,760円
鉄筋量は、㎥当たり、0.22t/㎥とすると、
1m当たり0.42㎥×0.22t/㎥=0.0924t
材料60000円/tを加工組立運搬費(ラーメンはトン数が増えるので単価は下がります。)を
60000円/tとすると、
0.0924t×(60000円+60000円)=11,088円
となります。
梁の1部屋で鉄筋材工で、
16.72m×11,088円=185,391円となります。
単独の部屋で梁に掛かる原価は、
98,313円(生コン)+133,760円(型枠)+185,391円(鉄筋)=417,464円
柱の建設費を、階高2.86mの同様に計算して行くと、800角なので
生コン:0.8m×0.8m×2.86m(高さ)=1.83㎥(1本)
1.83㎥×14000円=25,620円
型枠:0.8m×4辺×2.86m(高さ)=9.152㎡
4000円の単価を掛けると、36,608円(1本)
鉄筋:1.83㎥×0.22t/㎥×(60,000円+60,000円)=48,312円となります。
左側の単独の部屋は、柱が、1部屋に4本ありますので、
(25,620円(生コン)+36,608円(型枠)+48,312円(鉄筋))=110,540円(1本)
4本で、110,540円×4本=442,160円となります。
壁の長さは、全部で梁と同じ16.72mで、階高から梁下までを引いた数量2.86m-0.7m(梁高さ)=2.16mで計算し、
同じ要領(但し鉄筋量は0.165t/㎥)で計算して行くと、
生コン:7.22㎥×14000円=101,122円
型枠:72.23㎡×4000円=288,921円
鉄筋:1.191t×(60000円+60000円)=143,016円
壁の構造建設費:101,122円(生コン)+288,921円(型枠)+143,016円(鉄筋)=533,059円
スラブ(床)は、柱と梁の面積を除してCADで拾うと、15.06㎡で、スラブ厚0.18mで計算すると、
生コン:2.71㎥×14000円=37,951円
型枠:15.06㎡×4000円=62,400円
鉄筋:0.447t×(60000円+60000円)=53,673円
スラブ(床)の構造建設費は、
37,951円(生コン)+62,400(型枠)+53,673円(鉄筋)=154,024円
となります。
これに生コン打設手間と、左官を仮に30000円加え、
ゼネコンの現場経費、一般管理費、仮設費を仮に20%で加えると、
単独の部屋の1部屋当たりの構造体の金額は、
(417,464円(梁)+442,160円(柱)+533,059円(壁)+154,024円(スラブ)+30,000円(生コン打設・圧送手間と左官))×1.2倍(ゼネコン経費)=1,888,448円
前回の記事『RC造で壁8mの建設費は、幾らか?土地活用の豆知識①』で、壁構造の単独の部屋の構造建設費は、1,351,857円ですから、壁構造とラーメン構造では、1部屋、53万円ぐらい、建設費は上がってしまいます。
ラーメン構造の単独の部屋だと、1部屋に柱が4本あったり、梁も共用が無いので
その金額の金額的に、効いてくるのでしょう。
次に、上図の右側の図面で、両サイドに部屋のある、
真ん中の部屋を見て行きましょう。
真ん中の部屋の、梁は隣の部屋と共用している梁が2本有り、
柱は1部屋当たり、0.5本+0.5本で1本分しか有りません。
計算が文字で書くと、煩雑の為、計算式は省略しますが、
同条件で、真ん中の部屋の1部屋当たりの構造体の数量・建設費を弾くと、
967,998円(原価)×1.2倍(ゼネコン経費)=1,161,597円と、なります。
どうでしょう?
形状によって、全く1部屋当たりの建設費が異なる事が、ご理解頂けたでしょうか?
ここで、壁構造との比較も含めて、比較表を作ってみます。
壁構造 単独の部屋 | 壁構造 真ん中の部屋 | ラーメン構造 単独の部屋 | ラーメン構造 真ん中の部屋 |
1,351,857円 | 973,305円 | 1,888,448円 | 1,161,597円 |
隣の部屋と共用される場合の方が、1部屋当たりの構造に掛かる建設費は圧倒的に安くなること、
ラーメン構造と壁構造では、壁構造の方が安いこと、
ラーメン構造で単独の部屋がある場合、建設費が超割高になることなどが、
ご理解頂けたかと思います。
建設費の算出は、積算と言う様に、数量×単価の積み上げに、
ゼネコンの経費が掛かったものです。
単価や床面積が同じであっても、形状が変われば、数量が全く異なってきます。
同じ図面で見積を取れば、ゼネコン見積から下請の入替で下がった分から
30%をCMFEEとして頂いている、CM方式が安いに決まっていますし、
過去の事例の坪単価を見て頂いても、㈱土地活用は、安い事はご理解頂けるとは思います。
一方で、建設費の坪単価は、建物形状に大きく左右されますので、
単純に、何処何処で、昔、幾らでやったから、何処の会社が安いとか言うのは、
余り意味を為さないというジレンマは有ります。
ただ、土地活用をご検討中の、
皆様に、CM方式をアピールするにあたって、坪幾らで出来たかというのは、
公開しなくてはならないので、掲載は、していますけどね(笑)
過去の発注単価と躯体を簡易積算して行う概算見積は、無料で行っておりますので、
ご自身の計画で、㈱土地活用のCM方式でやった場合、
幾らぐらいするのだろうと、疑問に思われた場合は、しつこい営業はしませんので、お気軽に
お問い合わせ下さい。
CM方式により同じ設計図面で、地場ゼネコン見積より10%以上の建設費コストダウンの株式会社土地活用
建設費が高いと感じる地主様、不動産会社様、不動産投資家様は、
お気軽に、03-6441-2878か、問い合わせフォームからご相談頂ければ嬉しいです。