建設着工戦線以上あり!建設費への影響は?統計予測

建設費高騰が続く中で、首都圏での建設着工状況(戦線)に異常が発生しつつあるように見えるので、
今回は記事にしていきます。

過去記事、建設費は下落に転じる!?2024年下半期以降の建設費を大胆予測(2024.3.2)と併せてご覧ください。

まず、現状の、首都圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)のRC系(RC造とSRC造)の
着工面積を各月から前12か月分を合計したもの、つまり、過去1年間の着工面積をグラフ化したものを下記から、ご覧ください。
元データは、国土交通省から各月末に発表されている着工データの数字を集計・加工してグラフ化したものです。


首都圏のRC系の年間着工面積は、間近の山では、2023年1月の1128万㎡をピークに下落していて、
最新の2024年7月のデータでは、前12カ月合計は、951万㎡となっており、
現状でもピークアウトしたといって問題ないでしょう。

それ以前を簡単に解説すると、アベノミクス開始直後からの着工面積が2014年付近で一旦建設費が、暴騰し、2015年に一旦落ち着きを取り戻し、2016-2018年付近にオリンピックに向けたインバウンドブームでホテル関係の着工ラッシュと、RC投資ブームなどによって盛り返し、一旦低迷したところで、ジワジワと着工数が増えて行って、
2023年1月に着工のピークを迎えたという事です。

2016年のピークと、2023年のピークは余り数値は変わりませんが、その7年間の間に、
職人が引退して減った事、ウクライナ戦争から原材料費の高騰、脱コロナ、岸田政権の消費者を無視し、グリードインフレーション(強欲インフレ)を助長する誤った経済政策のお陰で、
CPIの上昇を遥かに超えた今回の建設費の暴騰を招いたと思われます。

岸田政権が、価格転嫁を推奨しすぎた結果、特に、建設業界では、寡占メーカー群は、カルテルを結んで高額でしか納入しないようにしていると思われるような行為をしている部分もあり、建設業全体の需要を消滅しかけています。

原材料費の値上がり分に関しては、やむを得ない部分も有りますが、ある寡占メーカー群では3年で2倍等、明らかに行き過ぎた便乗値上げをしている企業群も有ります。
公正取引委員会はメーカー同士のカルテルに関して取り締まるべきです。

消費者を無視した値上げ推奨政策では、需要を消滅させるだけという事を理解しなかった岸田政権の罪は重いです。

下記では、今後は、どうなっていくのか予測してみました。

まずは、2024年7月~2023年11月の9カ月間の着工面積の平均値である
726,195㎡が、今後、1年間も続くとなると、どうなるでしょうか?

下記のグラフの黄色の部分が将来予測となります。
今年の10月には年間900万㎡の抵抗線を割り込み、来春には850万㎡を割り込むことなります。

ここで一旦、各月の首都圏RC系の着工面積の、生データの数値を貼っておきます。

2023年10月に、大型物件の着工があったのか、108万㎡を付けています(大型物件が着工すると跳ね上がります)。
2024年6月-7月については、57万㎡-56万㎡と低迷が続いています。

ここで前月の紛れを外した2023年11月~2024年7月までの9カ月平均の着工面積を計算すると726,195㎡となります。
この平均726,195㎡が、今後、1年間継続するとなると、首都圏のRC系・年間着工面積は、どのようなグラフになるか見てみましょう。

今年の10月には900万㎡を下回り、来春には、850万㎡を下回ることになります。
ここまで来ると、メーカー、職人、ゼネコン共に物件が確実に減ったという事を実感を持って感じ始めると思います。

余談ですが、今後の大型物件の着工は、第2六本木ヒルズと呼ばれる再開発の100万㎡超の着工が、2026年を目指しているそうですが、当社(赤坂)の隣に出来た20万㎡超の、大型オフィス・商業・ホテルビルは、今年の8月に外構は通行人が出入りできるほど完成はしているものの、まだテナントが1件しか埋まっていないようでオープン予定は未定となっていたり、大型オフィスはバンバン建っているもののテナント付けは大苦戦しているようですし、もう止まれない物件以外は、様子見や開発見合わせが出て来ると思います。

民間においては、土地購入の選定も慎重にならざるを得なくなり、中型物件においては現状維持か更に減る可能性が高いと思います。
大型の病院や、学校、防衛関係施設などの公共事業の着工が割り込んでくることもありますが。

第2六本木ヒルズや、八重洲の再開発は、何だかんだ埋まると思っていますが、立地が悪くは無いけどピカピカではないエリアの大型オフィスなんか、そう簡単には埋まらない物件が続発するんじゃないかと思っております。

今後、高輪ゲートウェイとか大型物件が、どんどん完成していきますが、大企業は、既にオフィス有りますし、野村不動産が社運を賭けているというBLUE FRONT SHIBAURA(芝浦プロジェクト)とか、こんなところに56万㎡も作っちゃって、大丈夫なの?とは個人的には思っております(ホテルや住宅棟は埋まるでしょうけど。)。

雑談は、ここまでとして、ここからは、今年の7月の56万㎡の着工面積が最低値と考えた場合にどうなるのかを
月間65万㎡着工から5万㎡刻みに減らしていくと、どうなるのか見ていきましょう(意外と現実的な数字が見えてくると思います。)。

それでは、月間65万㎡着工が今後続いた場合のグラフです。


なんと来春には、年間800万㎡を割り込んでしまいます。グラフ的にも結構キツイものが有ります。

次に、月間60万㎡着工が継続した場合の、年間着工面積です。

グラフ的には、壊滅状態ですね。首都圏の現在の施工能力的には、年間950万㎡~1000万㎡程度のRC系の着工面積が丁度良い程度かと思いますが、900万㎡を切ると半年後ぐらいから仕事にアブレテくる業者・職人も出て来ると思います。

最後のグラフは、2024.5の57万㎡や2024.6の56万㎡着工が継続した場合の年間着工面積です。

今回の予測は、最悪のペースまでは現実になる可能性は低いとは思ってはいますが、間近の56万㎡の着工面積が継続する可能性が全くないとも言い切れません。

流石に、間に、多少は大型物件の着工が入ってきたり、ここまで割り込む事は無いようには思いますが、現在の56万㎡というのは、まだ、ここまでの国内的な経済事情によるもので、ここから中国経済、米国経済は更に需要消滅し悪化していく見通しです。

米国経済は、株価はまだ高いですが、統計的に、かなり怪しい感じになって、いつ弾けても全く疑問は無い状況になってきていますし、中国経済は、もう相当にヤバイニュースが入り込んできていて、回復の見込みも薄いので、この2台巨頭が、この秋か、冬に、世界を奈落の底に引きずり込む可能性が高いと思っています。

世界的な大不況が本格的に来れば、分譲マンションの販売や外資オフィス撤退など開発側にかなりの負担がかかるので、着工数は、現状の最低ラインを突き抜けて、更に減らしていく可能性もあります。

既にRC系が多い、分譲マンションに関しては、ディベロッパーは、相当に立地を絞って、小出しにしながら価格を維持する戦略に切り替えていると言われております。

現段階で、商業用不動産、オフィスの空室率は、そこまで悪くは無いですが、今立ち上がった当社の隣の赤坂ビルのような物件のテナント付けの苦戦状態を見ると、今後、大型オフィス物件を開発できるようなクラスのディベロッパーは、建設費の高騰も含めて、ますます、立地を絞って来るでしょう(オフィス系は、基礎や地下はRCですが上は大半が鉄骨ですが。)。

六本木は森ビル以外は、手は出さないでしょうし、八重洲も今やっている物件の状況が解らないと中々、これ以上進めるのはリスクが高いと思います。
品川付近は、高輪ゲートウェイの再開発で打ち止めでしょうし、浜松町は今の再開発でこれ以上は無理と思われ、まだ余力の可能性が有るのは、渋谷、新宿ぐらいかな・・・

下請さんとの雑談の中でも、『世の中的に、物件減ってませんか?』
と言ってきている業者さんもいて、統計上は確実に減っているというのは伝えてはいますが、工種によっては、引き合いも沢山あって、まだ実感を伴っていない業者さんもいてという端境期のように感じます。

大手の不動産仲介会社の担当者さんの話ですと、土地購入して設計まで進んだ段階で、建設費が合わずに、売りに出る事業用地の物件が乱発しているようで、建築計画の届出を出したうえで、統計に出ている数字以上に、実際には着工していない物件もかなりあるのではないかと思います。

当社は、有難いことに、他社さんが高すぎて着工できないような物件の建築主様から、お問い合わせが多数あったり、リピーターさんの物件が有り物件数は一杯ありますが、ここ数カ月は、トレンドの完全な転換期になると思うので各月末の統計発表から注視していきたいと思います。

もし、ここから着工が減るのに、台湾有事や更なる疫病など外的要因や、メーカーのグリードインフレーションが起こって建設費全体が上がるような事があれば、スタフグレーションで、日本全体と、日本の建設業は、もう壊滅するでしょう。

妄想でインフレの引き金を引いたプーチンと、消費者を無視してインフレを助長したバイデン(環境対策でアメリカの化石エネルギーの生産を絞った)・岸田さんは最悪でしたが、次の総理と大統領には、何とか建て直して欲しいところです。

建設を考えている建築主様は、計画から設計・見積・着工まで最低半年、平均的には、1年近く時間が掛かりますので、着工する頃には丁度良い時期になる可能性も高いので、現段階でお気軽に、お問合せ頂ければと思います。

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