前回、激変する世界情勢と2025年建設業・建設費景況予測の記事を2024年11月13日に書いた後、暫くサボっていましたが、この4カ月半、世界が何倍速にもなって動いているように感じます。
第二次トランプ政権の影響
トランプ一次政権の頃は、イメージと比べ、さほど激しい外交をしてこなくバランスを取っていた印象で、今回も過激な事言って当選したら、ある程度バランスが取れた平穏な政策をこなしていくのだろうと鷹を括っていましたが、かなり強烈ですね。
ウクライナとロシアの和平はトランプしか出来ないのは、理解はしてますし、戦争は早く終わって欲しいですが、歴史認識が無茶苦茶過ぎてドン引きしています。
ウクライナに対して現実的に領土奪還は戦力として不可能なので、諦めさせる必要があるのは交渉テクニックとして必要かとは思いますが、ロシアに寄りすぎていて、ゼレンスキーへのバンスの無礼な態度からアメリカへの信頼は失墜しました。
全く戦争を終わらせる気が無いバイデン政権も酷かったけど、なかなか。
まだ、戦争を終わらせようと色々動いているトランプ政権の方が、ウクライナ情勢に関しては、ましなのかも知れないけど、何も自分で出来る訳でもないので、状況を注視するしか無いです。
物価上昇の大本の原因は、プーチンが戦争を起こしたことですし、若者の命が奪われることも含めて、とにかく戦争を終わらせて欲しいです。
関税戦争も含めて世界中がアメリカとは距離を取るでしょう。
一日置きに状況が、ひっくり返る中で特にカナダとかはガンガン喧嘩してましてアングロ・サクソンの喧嘩は凄いなと思いつつも、日本は、中国やロシアの脅威があるのでトランプ暴風が去るまで、表立って動かない方で柳に風が当たるように受け流すしかなさそうです。
揺り戻しで、ハリス以外のまともな候補が出れば、次は民主党の候補が大統領になるでしょうし。
世界の景気
世界の景気は、元々、バイデン政権の末期から、悪化局面に入っていて2025年に大きな低迷が来るのは、想像はついていましたが、トランプが関税で掻き回し過ぎてクラッシュが激しく速くなりそうな予感です。
アメリカ産以外のワインを関税200%にするとか言ってるようですが、ワインなんか3~5年ぐらいは寝かせるんだから、アメリカ産ワインの増産をしても飲めるように熟成するのは、トランプが引退してからになります。増産するワイナリーなんてないでしょう。
19世紀の保護主義を目指しているようですが、当時の関税は、大した問題はなかったとは思いますが、今のサプライチェーンでの関税強化は、人類に与えられた社会実験のようなもので、どれぐらい酷いことが起こるか誰も理解できない恐ろしさを感じます。
アメリカ国内では瞬間的に、物価上昇して、既に、これまでのインフレで消費需要は冷え切っているので、一気にクラッシュするでしょう。その後に、デフレに突入するかどうかは読めません。
日本の建設業の低迷
そんな中で、日本の建設業も、国内的事情で、環境が激変しています。
2023年末から2024年初旬に職人不足で暴騰していた型枠に関しては、パタッと仕事が無くなり、国土交通省の労働需給調査において、関東の型枠・鉄筋の超主要の労務業種において、職人余りのマイナスが点灯しています。
上記は2月の調査結果なので、左官や電工などは、年度末竣工の工事に向けて、まだ忙しく需給はひっ迫はしていますが、一つの現場で先に工事が終わっていく型枠・鉄筋で人余りが発生しているので、4月になったら、作業的に後ろの方の工種に関しても人余りが発生してくことでしょう。
昨年秋から年初には躯体工事から仕事の薄さを実感し始めるだろうというのは、前々から統計分析をしている本ブログでは予測していた通りですが、しばらく低迷が続きそうです。
下記は、2025.3.31時点で国土交通省から発表されたデータを加工したもので、首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)のRC系の着工面積を、前12ヵ月で集計したものです。
最新月のデータですと、2025年2月~2024年3月の間に着工した面積の合計が集計されています。
グラフを見ると、年間900万㎡程度の着工面積で、一旦の底を打ったように見えます。
大手ディベロッパーの開発案件で止めようも無いもの、防衛系の予算が付いているもの等が、着工をしているようで、
中々、底堅い感じがします。かといって、ここから跳ね上がるような空気感は無いですけどね。
今、工事している千葉県での3200平米ぐらいの物件で、たまたま型枠業者の番頭さんと会って話したのですが、防衛省の基地や米軍基地、大手デベロッパーの大型物件は動いてるけど、5000㎡以下の小型物件はパタッと止まってるようですね。
私の認識では、不動産投資家さん(サラリーマン大家さん)が2022年ぐらいまで流行っていた、土地を買って新築RCを建てようというブームは完全に終わってますね。
当社の、お客さんで今土地を買っているのは宅建業者さんと、メガ大家さんだけです(昔買った土地のアパートを建替えるという話はチラホラあります。)。
当社は、業者さんや大地主さんの物件などが半分くらいで、来春までに、280戸、延床で14200㎡を着工させなければならないぐらいには、引き合いを頂いていて、元々、当社は、延床500㎡以下の案件は受けていなかったので、全く無風では有りますが、潰れた暁建設とか、UBMとかで建てられていた小振りなRCブームも多少は着工面積や労働需給に影響を与えていたでしょうし、建設のケの字も知らないようなド素人の新築コンサルやら、新築RC投資塾みたいなのが、高額な会費を取ってウロチョロしていたのが下火になってスッキリしているというのが本心でしょうか。
12㎡のRC賃貸とか、5階建のエレベータ無しとか人間の住む環境じゃない建物は絶対にやりませんので。
話を戻しまして、監督いわく、現場に入ってる職人さんは、この現場で作業に入れない日に『他現場に応援に行く先が無い』と言っているようで、既に職人さん達も不景気を実感しつつあるようです。
型枠単価は、別に交渉はしなくともピーク時と比べ平米3500円ぐらい下がっている印象です(これも予測通り)。
2年半ぐらいの間で均しで4500円ぐらいが、5000円近く上がったのが幾分か戻っただけでは有りますが、
食料品や家賃など物価も上がっているので、流石に2021年ぐらいの水準の単価にして欲しいというのは酷で、今ぐらいが妥当な水準だとは思います。
私は、統計を見ているので、こうなることは、かなり前から把握していましたが、他の工種と話をしていても、ようやく建設業が景気が悪いという意識が、実感を持って浸透してきているように感じます。
最前線で原価見積している感じですと、労務単価は確実に下がっています。
値上げ圧力は減って、だいぶCM方式による価格交渉はやりやすくなったと感じています。
粘り上げを画策する資材メーカー
一方で、資材に関しては、メーカーも強く、生コンに関しては、まず、ほぼ独占禁止法違反なんじゃないかと思われるセメントメーカーの一方的な告知に、生コン組合も強く、一方的な値上げを宣言してますが、どうなることやら。
生コンプラントは、セメントメーカーが値上げすれば、どうにもならないので、やむ負えない値上げにはなるのでしょうけど困ったものです。
正直、建設費の値上がりにより、ゼネコン側も仕事が薄くなっているのに、物価スライド以上に材料価格を値上げを要求してくるのは、どうかと思いますし、大手ゼネコン側も、今回ばかりは簡単に良しとは、しないでしょうし、激しい価格交渉バトルになると思います。
建築主やゼネコン側からすれば空気を読めと激しい抵抗が発生するでしょう。
ゼネコンだって、建設費の見積を出したら、建築主さんの想定を遥かに超えていて、案件の話が立ち消えになるなんてことは、頻発していますからね。
高輪ゲートウエイの再開発も、一部、オープンしていて、工事は終わりつつあり、八重洲の再開発は進んではいるものの、今後は、大手ディベも大型再開発は、中野サンプラザのように慎重になっていくことでしょう(渋谷の再開発なんか、幾ら渋谷と言えど、導線的に、もう限界だから、やめれば良いのにと思っています(笑))。
鋼材価格も既にピークアウトしていまして、ここから、だらだらと下落して行くことでしょうというのが常識的な見方ではありますが、電炉メーカーは、値上げの要求を始めているようです。
確かに輸送費や、燃料費があがったり、社員の給料をあげなくては行けないのは解りますが、
『建設需要が無いんだから、まず、原材料の、スクラップ(鉄くず)の買取価格を下げろ!』というのが、ゼネコン購買関係者の本音でしょうね。
細かな資材価格も、これまでのように簡単に、値上げ要求は通らなくなるでしょう。
国内事情から世界事情へ
これまでは、世界的なインフレはあるものの、日本の国内的な建設費を上げすぎたという事情で、着工面積を減らしてきましたが、世界経済は、リーマンショック直前の2007年と似たような空気感になってきています。
当時は中国のオリンピックや、なんやかんや理由を付けて急激な値上げをしていましたが、一気に吹っ飛びました。
ババ抜き状態の不動産業界も、馬鹿じゃなければ、景気低迷に向けて、物件の絞り込み、更なる開発計画の変更をしていくでしょう。
フェイスブックで、不動産情報交換のグループを観察してても、そんなので買うのは、有り得ないだろ!
と思うぐらい売り出し価格は上がってますが少なくとも仲介業者の間では、引き合いがあるようです(実際買う人がいるのかは不明ですが。)。
2005年から2007年ぐらいまでブイブイ言ってた空気感を感じますね。
この状態で、元から来る予定だった、今年の世界経済の低迷に加えて、トランプの関税ショックで、世界経済がどんな状況になるのか中々予測が立ちませんが、一瞬のスタフグレーションから、リーマンショックのような金融ショックにまで広がらない事を願うばかりです。
着工準備をしなければチャンスを逃す
ありがたい事に、当社、建設費をCM交渉で、下げることが本業ですから、2026年の初旬までに順次着工させなくてはいけない物件が現時点で、延床面積で14,200㎡もの、ご依頼を頂いており、今は、その先の1000㎡~5000㎡程度の中型・大型物件を探しております。
地主様等は、親の健康状態や、相続の発生時期など、様々な事情で、これから建設していかなくてはいけない方々も多いでしょう。また、老朽化したアパート、マンションの立退・自然退去が進んで、そろそろ建替えかとお考えの方も沢山いらっしゃいます。
私の予想では、昨年末から始まった労務単価の値下がりは、今年末頃までは進むでしょうけど、リーマンショック直後のように、職人さん達が生活できないレベルの単価にまでは、ゼネコンは、追い込む事は絶対にしない(自分たちが後から困るので)ので、2年後以上先の長い目で見たら、世間の物価上昇につられる形で、建設費は、再度緩やかに上がっていく事でしょう。
一方で、少なくとも東京は、賃料は上がり続けていますし、職人さんも、ここから下がると生活が出来なくなります。
地主さんの場合、更地で無ければ、お問合せ頂いて、さまざまな要望を伺って計画して、ご家族内の意見調整をして、融資通して、立退きして、解体して、だいたい早くて10カ月~1年後ぐらいが着工です。
当社としても、もう年内のCM見積予定は埋まりつつありますし、来年の2-3月以降に、その時で一番安く着工したいなーと思われているのであれば、今のうちに、お問合せホームか03-6411-2878から、気軽にお問い合わせ下さい。